※この記事は『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』のラストまで含む重大なネタバレがあります。
『ノー・ウェイ・ホーム』で世界中の人々からピーター・パーカーの記憶が消えてから4年。
今作で個人的に一番良かったのは、前作のあの重すぎる結末を簡単になかったことにしなかったことやった。
MJやネッドとの関係、ハルクとの戦い、謎の敵ジャン・グレイ、そして終盤のアクション。今回はかなり見どころの多い作品やったと思う。
① ストーリーの流れ【ネタバレあり】
序盤|誰もピーター・パーカーを知らない世界
『ノー・ウェイ・ホーム』から4年。
ピーターは、誰からも自分のことを覚えられていない世界で、一人スパイダーマンとしてニューヨークを守り続けている。
もちろんMJもネッドもピーターとの思い出を失ったまま。
ここがまず良かった。
ありがちな続編やったら、何かのきっかけで「もしかして……ピーター?」みたいに記憶が戻りそうなところやけど、少なくとも以前の関係が簡単に元通りになる展開にはしなかった。
前作でピーターが払った犠牲がちゃんと残ってるんよな。
一方でピーター自身の身体にも異変が発生。スパイダーマンとしての能力がさらに変化し始め、ブルース・バナーに助けを求めることになる。
中盤|姿の見えない敵とジャン・グレイ
街ではダメージ・コントロールを狙った不可解な事件が続発する。
敵の特徴は、直接姿を見せて戦うのではなく、他人の精神や身体を利用できること。
その正体として登場するのがジャン・グレイ。
最初は明確にスパイダーマン側から見た「敵」として描かれるものの、物語が進むにつれて彼女にも目的があることが分かってくる。
ジャンが探していたのは「V-Max」。しかしその背景には、ダメージ・コントロールに捕らえられていた妹サラの存在があった。
つまり単純な悪役ではなく、妹を救おうとしていた人物でもあったわけや。
終盤|スパイダーマンVSハルク
ジャンの能力によってブルース・バナーまで影響を受け、ついにハルクが暴走する。
ここはめちゃくちゃテンション上がった。
スパイダーマンとハルクが本気でぶつかるという、MCU好きならかなり見たかった組み合わせ。
ただ個人的には、もっと見たかった。
せっかくハルクを出したんやから、あと5分でも10分でもガッツリ戦ってほしかったな。
今回のハルクは「スパイダーマンを強く見せるために簡単に倒されるキャラ」になっていなかったところは良かったと思う。
ラスト|敵を倒すのではなく救う
終盤、ピーターはジャンを力で倒すのではなく、彼女の心と向き合うことを選ぶ。
自分の記憶をジャンに見せ、その中でメイおばさんとの記憶も共有する。
そしてジャンを撃とうとしたパニッシャーの弾丸を、ピーターが代わりに受けてしまう。
ピーターは病院へ運ばれ、一時は危険な状態になるものの生還。
そして病院の外には、スパイダーマンの無事を願う大勢のニューヨーク市民が集まっていた。
ここがめちゃくちゃ良かった。
ピーター・パーカーのことを知っている人はいない。
それでも、スパイダーマンに救われた人たちは、スパイダーマンのことを覚えている。
孤独になったピーターが、自分がこれまでやってきたことの意味を実感するシーンになっていたと思う。
② ラスト・重要シーンを考察
なぜMJとの記憶を簡単に戻さなかった?
これは今作で一番好きなところ。
前作のラストでピーターは、大切な人を守るために自分との思い出そのものを犠牲にした。
ここでMJが簡単にピーターを思い出してしまったら、『ノー・ウェイ・ホーム』のラストの重みが一気に薄くなってしまう。
今作ではMJとの関係を安易に元通りにはしない。そこはかなり良かった。
なお、ラストのネッドとのやり取りでは昔の秘密の握手が自然に出てくるため、ネッドの記憶が戻り始めた可能性は残されている。
ただし現時点では、以前の関係が完全復活したとまでは言い切れないと思う。
ジャン・グレイは本当に悪役だった?
個人的には「悪役」というより、今作のもう一人の主人公に近かったと思う。
妹を失った怒りや悲しみから暴走してしまったジャン。一方のピーターも、MJやネッド、メイおばさんとの関係を失った孤独を抱えている。
だからこそピーターはジャンを単純に倒すのではなく、理解しようとした。
孤独を抱える二人を対比させた物語やったんちゃうかな。
病院から出るシーンが意味するもの
個人的にかなり好きなシーン。
ピーター自身は誰にも覚えられていない。でも病院の外にはスパイダーマンを心配する人たちがいる。
「ピーター・パーカーとしては孤独でも、スパイダーマンとして生きてきたことは無意味じゃなかった」という答えになっているように感じた。
③ 伏線・小ネタ
ネッドの秘密の握手
ラストでピーターとネッドが無意識に昔の秘密の握手をする。
これはドクター・ストレンジの魔術で消された記憶が、完全には失われていない可能性を感じさせる場面。次回作でかなり重要になりそう。
ハルクとピーターの共通点
ブルースはハルクを抑えるために能力を制御している。ピーターも自分の変異を恐れて抑え込もうとする。
しかし最終的にピーターは、自分の中の「スパイダー」の部分も受け入れて戦う。
今作のハルクは単なるゲスト出演ではなく、ピーター自身の変化を映す存在にもなっていたと思う。
ジャン・グレイとX-MEN
ジャン・グレイの登場は、今後のMCUにミュータントやX-MENが本格的に関わってくることを強く感じさせる。
今回だけのゲストキャラクターでは終わらなさそう。
④ 俺の感想
まず良かったのが、みんながピーターのことを忘れた状態をちゃんと続けてくれたこと。
ここはほんまに良かった。
ありがちな展開なら、MJが突然昔の記憶を思い出して元通り……となりそうやけど、それを簡単にはやらなかった。
『ノー・ウェイ・ホーム』のラストが好きやったからこそ、この設定を大事にしてくれたのは嬉しかった。
そして何より、最後のアクションが良すぎた。
能力が変化していくスパイダーマンの動きも含めて、終盤はかなり見応えがあった。
一方でもったいないと思った部分もある。
まずハルク。
スパイダーマンVSハルクなんて、とんでもなく面白いカードなんやから、もっとガッツリ見たかった。
あれだけでもかなりテンション上がっただけに、ちょっと物足りなかった。
そしてジャン・グレイの能力。
他人の精神を乗っ取れる敵ってかなり怖い設定やのに、スパイダーマン本人とジャンが能力を使いながら真正面からぶつかる戦闘も見たかった。
設定は面白いのに、もう一段活用できた気がする。
ただ、ピーターが病院から出ていくところはめちゃくちゃ良かった。
誰もピーター・パーカーのことは知らない。それでもスパイダーマンを待っている人がこんなにいる。
孤独なピーターを描いてきた今作やからこそ、あの場面はかなり刺さった。
個人的には、不満もあるけど、トム・ホランド版スパイダーマンの新章としてかなり好きな作品やった。
⑤ 鑑賞後に振り返りたい3つの論点
物語とアクションを分けて考えると、どこが自分に刺さったのか整理しやすくなります。
| 観点 | 感想・考えたいこと |
|---|---|
| ピーターの孤独 | 記憶が簡単には戻らない設定が、ピーターの選択にどんな重みを与えたか。 |
| 終盤のアクション | ハルクとの戦いの迫力と、人物の感情がどう結びついていたか。 |
| ラストの選択 | 相手を倒すことと救うことの違いを、結末からどう受け取ったか。 |
⑥ まとめ
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は、「誰からも忘れられてしまったピーター・パーカーが、それでもスパイダーマンとして生きる意味を見つけていく物語」やったと思う。
MJやネッドとの関係を簡単に元通りにしなかったのも良かったし、終盤のアクションもかなり満足。
ハルク戦やジャンとの直接的な戦いをもっと見たかったという物足りなさはある。
それでも最後に病院を出たピーターが、スパイダーマンを待っている人々を見る場面はかなり印象に残った。
次回作でMJやネッドとの関係がどうなっていくのか。そしてジャン・グレイやX-MENがMCUにどう関わってくるのか。
新しいスパイダーマンの物語が本格的に始まった作品やった。


