TVアニメ『薬屋のひとりごと』第39話「氷菓」は、第2期第2クール序盤の中でも、猫猫・小蘭・壬氏それぞれの関係性がよく見える回です。
事件の始まりは、小蘭が楼蘭妃へ献上するための貴重な氷を割ってしまうこと。
今なら「氷を買い直せばいい」で済みそうですが、作中の時代では真夏の氷は非常に貴重。しかも上級妃への献上品です。
この記事では、猫猫がどうやって氷菓を作ったのか、壬氏が出した条件は何だったのか、なぜ小蘭をここまで助けたのか、そして玉葉妃の逆子と羅門の再登場まで整理します。
※第39話の結末を含む解説です。後の話の内容に触れる考察もあります。
第39話「氷菓」のあらすじ
年季明けが近い小蘭は、次の働き口につながる人脈を作るため、湯殿で妃たちの手伝いを続けていました。
そこで妃から簪をもらい、嬉しそうに歩いていた小蘭は、楼蘭妃へ献上する氷を運ぶ宦官とぶつかってしまいます。
氷は地面に落ち、粉々に。
貴重な献上品を台無しにした小蘭は青ざめ、宦官も激怒します。
そこへ猫猫が割って入り、「楼蘭妃が欲しいのは氷そのものではなく、冷たい氷菓子なのでは」と考えます。
砕けた氷を冷却材として使い、新しい氷菓を作れば、小蘭の失敗を“別の献上品”へ変えられる。
ただし、牛の乳・砂糖・果物などの材料と調理場が必要でした。
割れた氷から氷菓へ、猫猫の判断を追う
本文の出来事と、その意味の読み取りを分けて整理しました。人物の心情・意図については考察を含みます。
| 困り事 | 猫猫の対応 | 解決の条件 |
|---|---|---|
| 氷が割れた | 冷却材として役割を変える | 献上する菓子と冷却する氷を分ける |
| 材料と場所がない | 壬氏の権限を借りる | 知識だけでは用意できないものがある |
| 相手が納得しない | 実物を作って確かめてもらう | 代替品として受け入れられて初めて解決 |
なぜ「割れた氷」でも楼蘭妃への献上品を作れた?
今回の猫猫の発想で面白いのは、割れた氷をそのまま食べ物として使わなかったことです。
地面へ落ちた以上、衛生面を考えれば、その氷を直接楼蘭妃の口へ入れるわけにはいきません。
そこで猫猫は、氷を「食材を冷やすための道具」へ役割変更します。
献上するのは氷ではなく、別容器の中で作った氷菓。
これなら、割れて形が崩れていても問題ありません。
猫猫の氷菓の作り方|現代のアイスクリームに近い
猫猫が用意した主な材料は、牛の乳、砂糖、果物です。
そして、外側の器には細かく砕いた氷と塩を使います。
氷に塩を混ぜると、氷だけの時より低い温度まで下がりやすくなります。
その冷たさを利用して、内側の金属製の器に入れた牛乳や砂糖を混ぜ続けることで、中身を冷やし固めていく仕組みです。
氷そのものを食べるのではなく、「氷+塩でさらに温度を下げ、別の器の材料を凍らせる」のが猫猫の工夫です。作中では牛乳・砂糖・果物を使い、アイスクリームに近い氷菓へ仕上げています。
なぜ塩を入れると冷たくなる?
氷に塩を加えると、氷が溶ける温度が下がり、溶ける時に周囲から熱を奪います。
その結果、氷水だけよりも低温の環境を作りやすくなります。
現代でも、冷凍庫を使わずアイスを作る実験で使われる方法です。
卵は使っていない?
猫猫は短時間で代替品を作る必要があったため、作中で中心になるのは牛乳・砂糖・果物。
本人は、もっと時間があれば卵を使ったり香りを工夫したりできた、という余地も感じています。
つまり完成品は、猫猫にとって「完璧な菓子」ではなく、緊急対応として十分な品質まで持っていった氷菓です。
猫猫はなぜ小蘭をここまで助けた?
猫猫は基本的に「面倒事には巻き込まれたくない」人物です。
上級妃への献上品を壊した下女をかばえば、自分まで責任問題へ巻き込まれる可能性があります。
それでも猫猫は、ほとんど迷わず小蘭を助けました。
第1期から猫猫にとって、小蘭は後宮で最初期から続く数少ない友人です。
しかも小蘭はもうすぐ年季が明ける。ここで大きな失敗として処罰されれば、ようやく見えてきた次の人生まで壊れる可能性があります。
普段は友情を言葉にしない猫猫ですが、第39話では行動で小蘭との関係が見える回になっています。
壬氏が出した条件とは?|「簪」と「話を聞くこと」
猫猫には材料や上級の調理場を自由に使える権限がありません。
そこで、最も頼りたくない相手でもある壬氏へ頭を下げます。
壬氏は猫猫が自分から頼ってきたことにかなり上機嫌。
そして協力する代わりに、園遊会で自分が渡した簪を猫猫につけさせます。
さらに壬氏が求めているのは、ただ簪を見たいだけではありません。
今度こそ、自分の話を最後まで聞いてほしい。
第35〜36話で壬氏は、自分が宦官ではなく皇族であることを猫猫へ正式に説明しようとしていました。
しかし“蛙”騒動や牛黄によって、話は最後まで進みませんでした。
第39話でも壬氏は、猫猫へ本当の自分を伝える機会を作ろうとしています。
なぜ壬氏は簪にこだわる?
この簪は、第1期の園遊会で壬氏が猫猫へ渡したものです。
猫猫は装飾品への興味が薄く、普段まったくつけません。
壬氏からすれば、自分が贈った簪を猫猫が持っているのか、それとも売ったのかすら気になるところ。
だから「簪をつけて来い」という条件は、権力者の命令というよりかなり私情が入っています。
第36話の“蛙”をなかったことにしようとする猫猫と、なかったことにしてほしくない壬氏。その温度差がここでも続いています。
氷菓を食べた小蘭と宦官の反応
完成した氷菓は、小蘭が思わず笑顔になる出来栄え。
猫猫は、献上前に味を確かめたがる小蘭へ少量を食べさせます。
さらに「本当に大丈夫なのか」と疑う宦官にも試食させ、味で納得させます。
この流れは単にコミカルなだけではなく、猫猫が理屈だけでなく、実物で相手を納得させるタイプであることをよく表しています。
楼蘭妃はなぜ氷菓を欲しがった?
真夏に氷を使った菓子は、後宮でもかなりの贅沢品です。
楼蘭妃は季節や気分に合わせて目立つ衣装や趣向を楽しむ人物として描かれており、氷菓の注文もその一つに見えます。
ただ第39話では、楼蘭妃側の反応そのものより、猫猫・小蘭・子翠の関係に注目すると後の展開へつながる見方もできます。
この時点では、後の正体に関する情報を先取りしすぎず、「子翠も氷菓に興味を示していた」ことを覚えておく程度で十分です。
玉葉妃の逆子|後半で一気に緊張感が変わる
氷菓騒動が解決した後、第39話は一気に出産の問題へ移ります。
妊娠中の玉葉妃のお腹の子が、逆子になっている可能性が出てきます。
後宮では、皇帝の御子を無事に出産できるかは本人だけでなく政治にも関わる重大事です。
猫猫も自分の知識だけで対応できる問題ではないと判断。
そこで、養父であり薬と医術の師でもある羅門の力が必要になります。
羅門が再び後宮へ|第40話への最大の伏線
羅門はかつて後宮の医官でしたが、過去の事件で責任を負わされ、後宮を追放されています。
それでも玉葉妃の出産を安全に進めるため、再び後宮へ呼ばれます。
猫猫にとって羅門は「おやじ」であり、医術において最も信頼する人物。
第39話終盤の羅門再登場によって、次回第40話では単なる出産準備だけではなく、羅門が以前の後宮で残していた知識と、今も残る悪意が結びついていきます。
第39話は原作小説の何巻?
アニメ第39話は、原作小説(ヒーロー文庫)第4巻の内容が中心です。
第37話から始まった第2期第2クールの日常パートから、第40話以降の大事件へつなぐ橋渡しの回でもあります。
第39話の感想|猫猫が「友達のためなら壬氏にも頼る」のがいい
氷菓そのものも美味しそうですが、個人的に一番好きなのは、猫猫が小蘭のために壬氏へ頼みに行くところです。
猫猫は壬氏へ借りを作るのをかなり嫌がります。
それでも、小蘭を助けるためなら頭を下げる。
小蘭へ「大切な友人だ」と直接言うわけではないのに、行動を見ると十分伝わります。
一方の壬氏は、国レベルの秘密を抱えているのに、猫猫へ自分の簪をつけてほしいことで喜んでいる。
大きな陰謀へ入る直前に、二人の人間らしい距離感をしっかり見せた回でした。
次回第40話「巣食う悪意」へ
羅門が後宮へ戻ったことで、猫猫は過去と現在の後宮を比べられるようになります。
そこで気づくのが、「昔すでに注意されていたはずの毒が、なぜ今も被害を出しているのか」という違和感。
続きは第40話「巣食う悪意」|深緑・翠苓・子昌の伏線解説で整理しています。
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参考:アニメ公式 第39話「氷菓」(あらすじ)。話数・タイトルと導入は公式あらすじを参照しています。公式ページは結末の全説明ではありません。比較表の読み解きや、人物の心情・演出の意味は本記事の考察です。
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